伊須流岐比古神社 (石動山)

能登の伊須流岐比古神社(石動山)を掲載しました。

石川県の中能登町にある。
石川県と富山県の県境に聳える石動山(564m)の山上に境内がある。
県境といっても石動山全体は石川県側にあり、
県の境界線がそこだけ歪に曲っている。

2003年に始めて参拝し、今回(2012年)で三回目の参拝。
以前は雨だったので、山頂の大御前へは登っていなかった。
雨の日の参拝は境内の木々が瑞々しく、苔も鮮やかだったので
それはそれで楽しい参拝ではあったのだが、
いつかまた参拝したいと思っていた神社。

山上は能登歴史公園となっており、綺麗に整備された観光地。
石動山には当社・伊須流岐比古神社の別当が発展した天平寺が繁栄し
多くの僧坊や堂塔伽藍が点在していた山岳信仰の霊場であったが、
明治の廃仏毀釈によって瓦解し、多くの寺院が廃絶した。

境内右手には、石動山天平寺を支配していた大宮坊の
勅使橋や御成門や台所門、書院台所棟などの遺構が復元され
本堂跡には礎石が並んでいる。

境内入口には「伊須流岐比古神社」と刻まれた社号標が立ち、
その後方、石垣の前に手水舎。
地元の方が、参拝中にポリタンクで神水を汲みに来ていたので
美味しい水なのだろう。

階段をのぼり、鳥居をくぐると講堂跡。
山中のいくつかの建物は、廃絶時に売りに出されたが
講堂は大きすぎて買い手がつかず、その場で炭となったらしい。

参道を進むと石段があり、右手奥に岩清水が訛ったイワシガ池。
雨乞い祈祷が行われた雨乞池で、
江戸時代の文書では「アカ池」「閼伽池」とある。

石段を上ると苔むした境内に大きな拝殿。
昔は神輿堂として使用されていた建物で、
拝殿の周りに石の礎石が並んでいるが、盛時にはひと回り大きな建物があった。
拝殿の後方、階段の上には本殿の覆屋。
もとは石動山山頂の大御前にあったものを明治になって移したもの。

五社大権現とも称される能登国の二宮で、
式内社・伊須流支比古神社に比定される古社。
ただし、石動山の西麓に二宮という地があり、
当社の下社があったらしく、式内社の伊須流支比古神社は麓の下社で
山上の上社は、伊須流岐比古神社と「山」を付けて区別していたとも。

五社大権現とは、石動山山頂・大御前の本社に
大宮大権現(伊弉諾尊・本地虚空蔵菩薩)と
白山から迎えた客人大権現(伊弉冊尊:本地十一面観音)を祀り、
山中の梅の宮に梅宮鎮定大権現(天目一箇命:本地勝軍地蔵菩薩)、
火の宮に火宮蔵王大権現(大物主神あるいは迦具土神:本地聖観世音菩薩)、
剣の宮に剣宮降魔大権現(市杵島姫神あるいは素盞鳴尊:本地倶利伽羅不動明王)を祀る。



A. 掲…掲載 — gensyoushi 12:12 AM