愛本新用水天満宮 (宇奈月町)

富山県にある、愛本新用水天満宮(宇奈月町) を掲載しました。

富山県黒部市にある。
富山地方鉄道愛本駅の北4Kmほどの宇奈月町愛本新に鎮座。
黒部川を渡って北上すると、広大な田畑が広がっているが、
その中央部附近に東向きの境内がある。

境内の裏側にあたる西側に車道があり、車を停めて参拝開始。
参拝は十月後半、雨の日の朝。
傘をさして鳥居のある東側へ回ると「天満宮」と刻まれた社号標が立っている。

当社の正式名は「天満宮」だが、境内の案内板には愛本新用水天満宮とあった。
愛本新に鎮座する、用水完成を祝う天満宮なのだ。

鳥居をくぐると広い境内。
ただし、樹木などはほとんど無く、社殿と燈篭があるだけの簡素な神社。
『富山県神社誌』に載っている写真では、社殿のまわりに樹木が立ち並んでいるのだが、
最近伐採されたのだろう。

赤い屋根の入母屋造の拝殿はガラスで覆われ、後方に流造の本殿がある。
拝殿に中将松と呼ばれた松の木の一部が置かれていた。
前田治修公(参議中将)が愛本新用水開墾を視察した際、
この松の根元で休息されたという富山県史蹟天然記念物だったが、
昭和五十六年一月二十一日、大雪のため倒壊したらしい。

境内に樹木が無いのも大雪のためだろうか。
境内のあちこちに伐採された切株が点在していた。

往古、舟見野一帯は水が無く荒れ果てた土地で離散する人々も多かった。

寛政年間、時の十村(十村を管理する庄屋、加賀藩独自の制度)であった伊東彦四郎祐寿は
この惨状を救うには黒部川より一大用水を通ずるしかないと考え、
加賀藩十一代藩主であった前田治修公に願い出たが、藩の貧困のため許可されなかったが、
その後も再三請願を続ける彦四郎の熱意に感動した前田治修公は
藩政を節約して十五万両を与え用水工事を命じられた。

寛政十年(1798)工事着工から五年の歳月を費やして
享和二年(一八〇二)の冬十一月六日に延長三里(12Km)の用水が完成。
用水は荒野を五七七町余(約39670アール)の美田と化した。
住民は前田治修公の美挙に感激し、一社を建立して前田治修公を生きながらに祀り、
天満宮と称して、産土神とするとともに用水の守護神として崇敬したという。



A. 掲…掲載 — gensyoushi 1:47 PM